『クロノクロック』感想・レビュー|5分だけ戻せる時計で紡ぐドタバタ学園ラブコメ

SF

「5分だけ過去に戻れる時計」という一見地味な能力を手にした主人公が、個性豊かなヒロインたちと繰り広げるドタバタ学園恋愛ADV。キャラクターの魅力が光る一方で、シナリオ面では惜しさも感じる作品だった。

この記事では、全ルートをクリアした上での感想と、各ヒロインの魅力についてネタバレ控えめでお届けする。


作品情報

項目内容
タイトルクロノクロック
ブランドパープルソフトウェア
ジャンル5分巻き戻す恋のADV
発売日2015年4月24日
DL版配信開始日2016年5月6日
対応OSWindows Vista/7/8.1
原画克、月杜尋
シナリオ御影、溝淵涼
ボイスあり(主人公以外フルボイス)
販売サイトFANZA / DLSite / 遊び放題版


あらすじ

大企業の御曹司である主人公・沢渡澪は、祖父の遺品である懐中時計を持っていた。
この時計には5分間だけ過去に戻れるという不思議な力が宿っている。
何度でも使える代わりに、1時間に1回という制限付きの微妙に扱いづらい能力だ。

世界を救うなんて大それたことは考えず、日々を面白おかしく過ごすため、そして何より可愛い女の子を彼女にするため、澪は時計の力を使い始める。
そんなある日、告白しようとしていた後輩・鈴木みうと出会ったことで、彼の恋愛観は少しずつ変わっていく。

時間移動能力者になった主人公のドタバタな学園恋愛物語が、ここから始まる。


感想①:キャラクターの魅力が圧倒的

プレイし終わって気づいたのは、シナリオの好き嫌いはあったものの、全体的にどのヒロインも好きだったということ。
これは結構すごいことだと思う。

ヒロインたちの個性が本当に強い。
ヤクザの組長を親に持つ武闘派ヒロイン、重度のブラコン妹、謎の日本語を操る金髪メイド、ポンコツなツンデレ後輩……。
文字にするだけでもなんかすごい。
実際、彼女たちの掛け合いは本当に楽しかった。

日常パートが面白いパープル作品ってあまり記憶にないのだけど、本作は例外。
主人公がギャグ方面にちょっと吹っ切れているのもいい塩梅で、誰が相手でも結構いじって遊ぶから、会話のテンポが良い。
キャラ自体が魅力的だから、主人公と彼女たちの掛け合いを見ているだけで楽しめた。


感想②:主人公・澪がなかなかの好青年

本作の主人公・沢渡澪は、バカで明るく、健全な男子程度にエロい少年……という設定なのだが、実際にプレイしてみるとなかなかに漢だった。

特に印象的だったのは、時計の能力の使い方。
5分戻せるってしょぼく見えるけど、実はめちゃくちゃすごい能力なんだよね。
でも澪は、その能力を悪用したり、肝心な場面で安易に使ったりしない。
あくまで人間の意思や決断を大事にしているのがとてもいい点だった。

また、別の女の子から好意を向けられていることに気づいていながら、真剣に誰かを選ぶのも印象的。鈍感系主人公とは一線を画す、妙な誠実さを持っている。


感想③:シナリオは惜しさが残る

全体的には良い方なのだが、正直に言うとシナリオ面では気になる点が積み重なった印象がある。

設定の説明が足りない部分があったり、最後の方があっさりしすぎていたり、蛇足がついていたり、付き合ってからがあまり見れなかったり。
どのルートも付き合ったところで終わって、その後はおまけシーン程度なので、もっとイチャイチャが見たかった。

あと、ときおり設定の詰めの甘さを感じる場面もあった。
主人公の成長物語としてはしっかりしているだけに、惜しいなと思ってしまう。


感想④:CGと演出のクオリティは流石

パープルソフトウェアらしく、CGの美しさは安定している
原画の克さん、月杜尋さんのイラストは文句なしに綺麗で、絵が気に入った人なら外れないと思う。

演出面も良くて、ちょくちょくアニメーションが入っていたりする。
特にクロルートのクライマックスの演出は印象的だった。シナリオ以上にゲームを盛り上げる要素として有効に働いていたと思う。


感想⑤:エッチはおまけ

エッチシーンはシナリオと完全に分けられて完全におまけ。
シーン数も一人当たり2シーンなのでおまけ中のおまけ。

脳筋おっぱいの真琴さんのエッチは、大変素晴らしかったが、エロゲーというほどではなかった。
このボリュームと内容だったら、ギャルゲーでも良いんだよな。


ルート別感想(ネタバレ注意)

ここからは各ヒロインのルートをプレイした感想。
核心的なネタバレは避けるけど、展開に触れる部分もあるので注意してほしい。

真琴ルート

古風で仁義に厚く、女の子扱いに慣れていない真琴。
普段は「ふぇぇ」と一般人らしく振る舞っているのを、主人公がニヤニヤ見ているという関係性がいい。

このルートでは謎の時計がメインとなる話が展開される。
シナリオはとても良くて、主人公がめちゃくちゃかっこよかった。
真琴の素直さと、普段は隠している女の子らしい一面が垣間見えるのがグッとくる。
ずっと面白かったし、しっかり魅力的なヒロインだった。

D・Dルート

ちょっとご都合主義な部分はあったけど、シナリオの方向性は好き。

自分の大事な部分を譲らない似たもの同士の二人が惹かれあい、主人公が「好き」の強さでD・Dを幸せにしようとする展開が熱い。

特に面白かったのは、日本語が下手なのに妙に日本語が上手いという矛盾した部分。
なんか日本語としては間違っててズレてるはずなのに、微妙に状況に合ってるのが本当に笑えた。

美咲ルート

ポンコツのツンデレで、好意がわかりやすくて、いじりやすい。

「ツンがないツンデレ」とも言われている部分がめっちゃ可愛い。
努力を積み重ねるところも好きだし、個人的には一番好みの性格だった。

また、満とのやりとりがめっちゃ面白かった
主人公と満にいじられる美咲が最高。時

間の巻き戻しをしっかり使う展開もあって、設定が活きていたルートだと思う。

満ルート

ブラコン妹だけど、ちゃんと兄の気持ちを優先しているところがグッド。
いわゆる「キモウト」のような兄の気持ちガン無視タイプが苦手なのだが、満は兄優先なので好き。

言葉のセンスが半端ないところがめっちゃ好き。
本当に言葉の使い方が上手くて、主人公や美咲に絡むときのギャグセンスが良すぎて、何度も笑った。

ただ、シナリオの核になる部分は個人的にはちょっと微妙だったかな。
最近読んだ作品とほぼ同じ展開だったのもあって、新鮮味が薄かった。

クロルート

本作のメインヒロイン的存在。

神様としてのクロがいろんなことを経験し、恋をし、感情豊かに過ごしていくところはとても良かった。人
間に興味津々な神様としてのクロが可愛いし、主人公もめちゃくちゃかっこよかった。

日常パートは本当に面白くて、共通ルートの俗物な澪くんが帰ってきた感じがした。

ただ、時間設定のヒロインたちへの影響とか、説明が足りない部分があってちょっともやっとしたかな。

みうルート

う〜ん、なんとも言えない個別ルートだった。

ヒロイン自体は頭が良くてかっこよくて好き。
今までを通して主人公が変わった、成長したというのは良い点だった。

ただ、めっちゃ短かった
正直、みうルートというよりは作品全体のエピローグという印象。

プロローグでみうの魅力を見せておいて、最後に解放されるルートがこのボリュームなのは少し残念だった。


補足:よくある疑問

Q. 攻略順はある?

真琴・満・D・D・美咲の4人を攻略すると、クロルートが解禁される。その後、みうルートも解禁。どの順番で攻略しても問題ないけど、個人的には真琴→D・D→美咲→満→クロ→みうの順がおすすめ。

Q. 付き合ってからのイチャイチャは多い?

残念ながら少なめ。どのルートも付き合ったところで本編が終わり、その後はおまけシーン程度。ここは物足りなさを感じる人が多いと思う。

Q. 時計の能力はしっかり活かされてる?

共通ルートではガンガン使うけど、個別ルートに入ると徐々に使わなくなる。これは主人公の成長物語としては納得なのだけど、設定の持ち腐れ感はある。真琴ルートと美咲ルートでは比較的活かされていた印象。


まとめ

良かったところ

  • キャラクターの魅力が圧倒的。どのヒロインも個性的で、掛け合いが楽しい
  • 主人公がなかなかの好青年で、誠実さがある
  • CGと演出のクオリティが高い
  • 日常パートが面白く、テンポが良い
  • 真琴ルートとクロルートは特に完成度が高い

気になるところ

  • 付き合ってからのシナリオが少ない
  • 設定の説明不足・詰めの甘さを感じる部分がある
  • みうルートのボリュームが物足りない
  • 時計の能力が後半あまり活かされない
  • Hシーンはおまけ

こんな人におすすめ

  • 個性的なヒロインとのドタバタラブコメが好きな人
  • パープルソフトウェアの絵が好きな人
  • 軽めのシリアスと明るい日常のバランスが好きな人

向かないかもしれない人

  • ゴリゴリのSF的なタイムリープものを期待している人
  • 付き合ってからのイチャイチャをたっぷり見たい人
  • シナリオの整合性を重視する人
  • Hを求める人

キャラクターは本当に良くて、個人的には真琴と美咲がお気に入り。

シナリオ面で惜しさは残るものの、日常パートの楽しさとヒロインの魅力で十分に楽しめる作品だった。
キャラゲーや日常パートが好きな人なら、プレイして損はないと思う。

クロノクロック

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