魔王、天使、人間が入り乱れるドタバタ学園コメディで、キャラの魅力と会話劇のテンポがとにかく最高の一本。
個別ルートの満足度も高くて、笑いあり感動ありで存分に楽しめた作品だった。
この記事では『まおてん』をプレイした感想を、一部ルート別感想を除きネタバレなしでお届けします。
作品情報
| タイトル | まおてん |
| ブランド | CandySoft |
| ジャンル | ハチャメチャ非日常恋愛ADV |
| 配信開始日 | 2018年8月3日 |
| 対応OS | Windows 10 / 11 |
| 原画 | 天海雪乃 |
| シナリオ | さかき傘 |
| ボイス | あり |
| その他 | 体験版あり |
| 販売サイト | FANZA / DLSite / 遊び放題版 |
あらすじ

1999年、ノストラダムスの大予言が的中――地獄の封印が解かれ、666人の魔族が人間界に現れた。
……が、70億を超える人類を700人足らずで支配するのはどう考えても無理。
魔族たちはあっさり共存の道を選び、関東の海沿いの田舎町「三咲町」にひっそりと集まって暮らし始めた。
それから十数年。
人間と魔族がなんとなく平和にやっている日々が続いていたけど、ある日「魔王」を名乗る少女が転校してきたことで、町の日常は一変する。
魔界最強の魔王族、天界から派遣された天使、実弾入りライフルを構える巫女服シスター、そして魔力ゼロなのに「三咲町の魔王」と恐れられる幼なじみ――。
個性が強すぎるメンバーが繰り広げる、ハチャメチャな非日常ラブコメディの幕が上がる。
キャラクター紹介
春名 梨多(はるな りた)CV:花澤さくら
主人公の幼なじみで、家がお隣さん。
兄妹のような距離感でずっと一緒に育ってきた、いたって普通の人間の女の子。
……のはずなんだけど、悪知恵の回り方と行動力が尋常じゃない。
面白いと思ったことは周りの迷惑も考えずにやらかすタイプで、ご近所からは「三咲町の魔王」と呼ばれ恐れられている。
魔力はまったくのゼロ。
なのにカリスマ性も風格も本物の魔王より上というのが、この作品を象徴するキャラクターだと思う。
逢魔我 カリン(おうまが かりん)CV:桃井いちご
魔界で最も強力な「魔王族」に属する少女で、本名カーリーン。
御年1013歳だけど、見た目は身長140cmの小柄な女の子。
生まれた瞬間に伝説の破壊神シヴァを体内に取り込んでいて、天使相手にも互角以上に渡り合える戦闘力を誇る。
ただし本人の目的はあくまで「支配」であって、破壊にはあまり興味がないらしい。
地遊尼 ゆうり(じゆうに ゆうり)CV:御苑生メイ
天界から人間界に派遣された天使で、主人公とは義理の姉弟として暮らしている。
人間界での生活が長いからほぼ人間と変わらないんだけど、マジメすぎる性格が災いして「魔の氾濫」「滅びの時代」なんて言葉をつい口走ってしまう。
その結果、周囲からは完全に中二病扱い。
本人は至って真剣なのに誰にも信じてもらえないのが、シュールで面白い。
その他の個性派キャラたち
本作はサブキャラクターも非常に魅力的で、メインに負けないくらいの存在感がある。
ブリュンヒルトはドイツからやってきたシスターなんだけど、日本では巫女服で暮らしていて、魔族との戦いに備えて実弾入りライフルを常に携帯している。
しかもノリで人間にもぶっ放すため、みんなから恐れられているという強烈なキャラ。
チタンは主人公の男友達で、長身でグラサンが特徴のアニキ的存在。正体は単眼の巨人族「サイクロプス」で、平均身長3メートル近い巨人族の中ではかなり小柄。だからこそ自分が大きいと思ってもらえる人間界を気に入っているというのが、なんとも愛嬌があって良い。
白蛇はクラスの委員長で、飄々としながらも人が嫌がることを率先してやる誰からも好かれるおかん的なキャラ。
遠い先祖に魔王族の血を引いていて、カリンにとっては遠縁の親戚にあたるという設定もストーリーに絡んでくる。
こういったサブキャラたちがメインと同じくらい物語を盛り上げてくれるのが、この作品の大きな魅力になっている。
感想

感想1:メインからモブまで全員キャラが立っている
この作品をプレイして一番強く感じたのが、キャラの魅力がすさまじいということ。
メインヒロインの3人はそれぞれタイプがまったく違っていて、魔力ゼロなのに「三咲町の魔王」として君臨する梨多、圧倒的パワーの魔王族なのに見た目は小さくてかわいいカリン、マジメすぎて中二病扱いされる天使ゆうり。
三者三様の魅力があって、誰を推すか本気で迷ってしまった。
でも正直、それ以上にすごいなと思ったのは、サブキャラやモブに至るまで全員キャラが立っていることだった。
ブリュンヒルトの予測不能な言動にはいつも笑わされたし、チタンなどの男友達とのバカ話もなぜかクスッとしてしまう。
白蛇のおかん的ムーブと内面に隠された属性のギャップも好きだったし、天界から来た少年ラムもいいスパイスになっていた。
メインキャラだけでなく、クラスメイトやちょっと出てくるだけのモブにまでちゃんと個性がある。
「このキャラたちの日常をもっとずっと見ていたい」と素直に思えるくらい、全員が愛おしい作品だった。
感想2:テンポの良い会話劇で笑いが止まらない
シナリオを手掛けたさかき傘さんは、3学期からの「つよきす」でもおなじみのライターで、キャラの掛け合いを書かせたら本当にうまい人だと改めて感じた。
本作は「ハチャメチャ非日常恋愛ADV」というジャンル名の通り、日常パートのドタバタコメディが大きな見どころ。
魔王と天使と人間が同じ教室にいるというシュールな状況をベースに、テンポの良い会話劇が次から次へと繰り広げられていく。
この空気感がすごく心地よかった。
パロディネタやメタネタもちょいちょい仕込まれていて、自分のツボにハマるものが多かったのでかなり笑わせてもらった。
共通ルートはボリュームがたっぷりあるんだけど、「バカだなぁこいつら」とニヤニヤしているうちにサクサク読み進められる。
退屈する暇がないのは、テキストの力とキャラの魅力があってこそ。
ただし、コメディのノリや笑いのツボは人それぞれなので、合う合わないは体験版で確かめておくと安心だと思う。
感想3:TRUEルートが惜しすぎる
個別ルートまでは文句なしだったんだけど、問題はTRUEルート。
ここだけが本当に惜しい。
さかき傘さんの作品は個別ルートの後にグランドルート(TRUEルート)が用意される構成が多くて、今作もその流れになっている。
ただ、このTRUEがプレイヤーの間でもかなり賛否が分かれているポイントで、個人的にはちょっときつかった。
何がきついかというと、まずTRUEに入ってからの展開が結構唐突なこと。
「つよきす」だと個別ルートの中にグランドへの伏線が張られていて自然に繋がる感覚があったけど、今作はそのあたりの橋渡しが弱い気がした。
突然シリアスに振り切る場面があって、「なんでそうなる?」と置いていかれてしまう部分があった。
そしてもうひとつは、シリアス展開で生まれたモヤモヤが解消されないまま終わること。
さかき傘さんはシナリオに緩急をつけるためにシリアスを挟むタイプのライターだと思うんだけど、今作のシリアスはカタルシスが来ると期待しているのにすっきりしないまま話が進んでいってしまう。
ヒロインたちの反応にも納得しにくいところがあって、個別ルートで好きになったキャラへの印象が揺らいでしまったのは正直ショックだった。
なので、すっごい惜しい。
キャラと会話劇は最高だし個別ルートも良かっただけに、TRUEが違う展開だったら、もしくはTRUEがなければ、かなりの高評価だったのは間違いない。
ルート別感想【ネタバレ注意】
カリンルート

予想以上にイチャラブ全振りだったルート。
魔王族という設定があるから、魔界関連の掘り下げやバトル展開があるのかなと思っていたけど、そっち方面はほとんどなかった。
待っていたのは、ひたすらカリンとのイチャイチャ。
シナリオ的にはシンプルだけど、カリンのかわいさを純粋に堪能するルートとしてはかなり満足できた。
意外と表情豊かなのがとても良かった。
笑顔がグッとくるヒロイン。
ゆうりルート

3人の個別ルートの中で一番シナリオに力が入っていたと感じたルート。
天界の設定をしっかり活用した物語が展開されていて、主人公の過去や作品全体の謎に迫る要素もある。
個別の中では読み応えが一番あったし、感動的な要素も含まれていて印象に残った。
梨多ルート

幼なじみとの恋愛をじっくり描いたルート。
幼なじみ特有の「近すぎるからこそ踏み出せない」距離感がちゃんと描写されていて、惜しいところもあったけど全体的には良かった。
終盤にかけての怒涛の展開から感動的な着地に至る流れにはグッとくるものがある。
なお、梨多ルートは先にプレイすると物語のネタバレを早い段階で踏むことになるので、攻略順は後回しにするのが安全。
TRUEルート
個別ルートをすべてクリアすると解放されるグランドルート。
これまでの明るくドタバタした雰囲気とはガラッと変わるシリアスな展開が待っている。
詳しい内容は伏せるけど、個別ルートで積み上げてきたキャラへの好感度が揺らぐような展開があるのが一番きつかった。
クライマックスに向けて盛り上がるはずの場面で逆にモヤモヤが増していく感覚はなかなかしんどい。最後の着地にもすっきりしない部分が残ってしまった。
TRUEを評価しているプレイヤーもいるので完全に好みの問題だと思うけど、自分には合わなかったというのが正直な感想。
ただ、TRUEをクリアするとおまけ要素やサブヒロインの後日談が解放されるので、そこまで含めてプレイするかどうかは自分の判断で決めてほしい。
気になるQ&A

Q. おすすめの攻略順は?
カリン→ゆうり→梨多→TRUEの順がおすすめ。
梨多ルートには物語の核心に関わる要素が含まれていて、先にプレイすると他のルートのネタバレを踏んでしまう。カリンかゆうりのどちらかから始めるのが無難。
Q. プレイ時間はどのくらいかかる?
共通ルートが長く、全体のテキスト量もかなり多い作品。ボリュームはたっぷりあるので、フルコンプまではそれなりの時間を見込んでおいた方がいい。
Q. Windows 11に対応している?
対応OSにWindows 10 / 11が明記されているので問題なし。
Q. 体験版はある?
あり。会話劇のテンポやコメディのノリが自分に合うかどうか、まず体験版で確認してみるのがおすすめ。
Q. 「つよきす」と何か関係はある?
シナリオライターが同じさかき傘さんの作品。
ストーリー上の直接的な繋がりはないけれど、キャラの掛け合いやコメディのセンスに共通する部分がある。
3学期以降のつよきすのノリが好きだった人は楽しめる可能性が高い。
まとめ
良かったところ
- メインからサブ、モブに至るまで全キャラが魅力的
- 会話劇のテンポが良く、笑いどころが多い
- 個別ルートはそれぞれ違った良さがあって満足度が高い
- ボリュームたっぷりで読み応えがある
- パロディネタやメタネタが楽しい
気になるところ
- TRUEルートの展開が賛否両論で人を選ぶ
- TRUEのシリアスにモヤモヤが残りやすい
- 共通ルートが長めなので、ノリが合わないとダレる可能性がある
こんな人におすすめ
- キャラクターの掛け合いやドタバタコメディが好きな人
- さかき傘さん(つよきす等)の過去作が好きな人
- 魔族×天使×人間のファンタジー学園モノに惹かれる人
こんな人には向かないかも
- グランドルートの出来を重視する人
- シリアス展開でのモヤモヤが苦手な人
- パロディやメタネタが肌に合わない人
キャラの魅力と掛け合いの面白さは間違いなく一級品で、個別ルートの満足度も高い。
何度も言うけど、キャラと会話劇は本当に最高だった。
TRUEルートへの評価で最終的な印象が分かれる作品ではあるけれど、それでも「プレイして良かった」と思えるだけの力がこの作品にはある。
気になった人はぜひ体験版・遊び放題版から試してみてほしい。










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