プレイし終わって、しばらく動けなかった。
シリーズ4部作の3作目。起承転結でいう「転」にあたる一本で、穏やかだった空気が後半で一変する。
好きなんだけど、気軽に「やってみなよ」とは言えない。そういう厄介な作品だった。
作品情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | クリミナルボーダー 3rd offence |
| ブランド | Purple software(パープルソフトウェア) |
| 発売日 | 2023年11月24日 |
| 対応OS | Windows 10 / 11(ブラウザ版あり) |
| ゲームジャンル | 日常と常識の境界を引き裂く悪人円舞曲ADV |
| ジャンルタグ | バイオレンス、学園もの、DL版独占販売 |
| 原画 | さめまんま |
| SD原画 | CHIHIRO |
| シナリオ | かずきふみ |
| 音楽 | YUKI NAKANO / タナトシ / 山口たこ |
| ボイス | あり |
| 声優 | 有栖ねね(メリル)、詩倉綿かほり(凛)、小波すず(ひな)、桃山いおん(琴子)、井伊筋肉(辰也)、逢坂菜乃花(栞)、超高音(東雲)、佐久間翔(東海林)、鳩マン軍曹(五郎)、歩サラ(ルカ) |
| レーティング | 18禁(ソフ倫) |
| 価格 | DL版 3,800円(税込)/ complete box 12,160円(税込) |
| 購入リンク | FANZA DL版 |
評価

| おすすめ度 | 満足度 | 一言 |
|---|---|---|
| ★★★★☆ | 75点 | 好きだけど重い。覚悟がいる |
あらすじ
⚠️ シリーズ3作目のため、1st・2ndの軽微なネタバレを含みます。
前作までで窮地を脱した主人公・一樹(にのまえいつき)は、電子ドラッグ<レイヴ>を使ったビジネスを本格始動させる。
だが、このまま順調にいくわけがない。
雨紋会が本気を出せば全部終わる。その焦りから、一樹は琴子に付き従う謎の少女メリル・ハサウェイに接触し、海外組織との繋がりを探り始める。
穏やかな日常の裏で、じわじわと何かが壊れていく。
攻略情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 体感プレイ時間 | 2〜3時間(ボイス聞きながら) |
| 攻略難易度 | 選択肢なし・完全一本道 |
| Hシーン | メリル個別あり+4Pシーンあり |
| 修正パッチ | なし(Steam版「Liminal Border Part III」は別途18+パッチあり) |
| 前作プレイ | 必須(詳細はQ&A参照) |
| プレイ環境 | Windows 11でプレイ |
メリルの編入と、甘いものと、ギャップ


今作のヒロイン、メリル・ハサウェイ。
主人公の監視という名目で学校に編入してくるんだけど、この子がね、学校だとめちゃくちゃ明るい。
普段のぼーっとした無愛想な感じからは想像つかないくらい、周りに馴染んでる。
なんだこのギャップ。ずるいだろ。
で、甘いもの好き。もう、一発でやられた。
メロンパンとか頬張ってるとき、めちゃくちゃ食うし、そのときだけ年相応の女の子の顔になるのよ。
母親を亡くして組織に拾われて、自分じゃ何も選んでこなかった子が、甘いものだけは自分で選んで手を伸ばしてる。
そこにグッときた。
メリルと仲良くなっていく流れは、ヤクザの仕事を一緒にこなしたり、闇金の回収に付き合ったり、全然キラキラしてない。
でも、そういう泥臭い時間のなかで「あ、こいつ信用していいかも」ってお互い思い始める感じが、すごくよかった。
余談だけど、メリルはレイヴの影響が薄い設定なので、Hシーンは1st・2ndとだいぶ雰囲気が違う。
体のぬくもりで人との繋がりを知る、みたいな方向性。嫌いじゃなかった。
東雲の嫌がらせと、小物っぷり
東雲。雨紋会の幹部で、主人公たちに首輪をつけた張本人。
こいつ、小物に見えてしょうがなかった。
格付けにこだわる。自分の手は汚さない。やることがいちいちみみっちい。
「にのまえを殺せ」とか指示は出すくせに、自分で動く度胸はなさそうな感じがずっとしてた。
なんかこう、もっとドーンと構えた怖さがほしいのに、神経質でソワソワしてるんだよね。
主人公はそんな東雲の嫌がらせをひたすら耐える。注意を惹きつけるために、わざと。
これは1st・2ndを経た一樹だから取れるやり方で、あの頃のオドオドした一樹じゃ絶対無理だった。
東雲の余裕のなさの裏に何か理由があるのかも、という引っかかりはずっとあった。
後半で彼の立場が見えてくる場面はあるんだけど……うーん、それでもやっぱり「もうちょい器がでかくてもよくない?」と思ってしまう。
ショウジのやらかしと、警察のつながり
ちなみに、ショウジ(東海林)が警察元幹部の孫だったと判明するくだりがある。
こいつのせいで警察と雨紋会のズブズブな関係ができてしまうわけで。ショウジ、クズだな。ほんと。
クズはクズなりに物語の歯車としてきっちり噛み合ってるのが妙にリアルだった。
3人の食卓と、その後の地獄
ヒロイン3人と和気藹々と食事するシーンがある。
ここ、すごく良かった。
裏社会でえげつないことばっかりやってるのに、こういう時間があるから人間でいられるんだなって。
ああ、いいな。この4人で笑ってられたらいいのに。
……って思った直後に、全部ひっくり返される。
詳しくは書けない。ここを書いたらこの作品の一番大事なものを壊してしまう。
ただ、ひとつだけ。取り返しのつかないことが起きる。
直接的な場面は描かれない。ぼかされた描写で、事実だけがポンと突きつけられる。
ショックで胸がギュッと締まった。
殺し方もその後の処理も、えげつない。ちょっとぼかされてはいるけど、想像すると余計にきつい。
パープルがここまでやるのか、と思った。感動系のイメージが強いブランドが、ここまで容赦ないことをしてくるとは。
今まである意味ヌルかったぶん、落差がすさまじい。
ただ、あっさりしすぎて困惑が先に来た瞬間もあった。
もう一段、胸に焼きつく場面があったらもっと食らってたかもしれない。
ここは好みが分かれそう。
境界線を踏み越える時
タイトルの「クリミナルボーダー」。咎人の境界線。
この3作目で、ようやくその意味が体に刺さった。
主人公にとっての初めての殺し。
メリルにとっても、組織の命令じゃなく、自分の意思で人を手にかける初めての瞬間。
もう戻れない。
あの穏やかだった食卓は、もうどこにもない。
ここまで来た一樹は、1stのオドオドしたオタク少年とは完全に別人で。
まぁまぁイカれてるなとは途中から思ってたけど、ここまで来ると笑えない。
黒幕の正体が終盤で明かされて、予想してなかった人物だったので驚いた。
そこから凛が表に出てくる展開も熱い。
ただ、海外組織のトップが出てきて、こっちの味方寄りに収まりそうな気配があるのはちょっと心配。
頼むから全面的にいい人でした、みたいなのだけはやめてくれ。
主題歌「花よ散り逝け 人も散るなり」が本編で流れるタイミング、完璧だった。
プレイ後もしばらく頭のなかでずっと鳴ってた。
Q&A

Q. 前作(1st・2nd)は必須?
必須。完全な続きものなので、3rdから始めると話がまったくわからない。
1st offenceのレビューと2nd offenceのレビューも参考にしてほしい。
Q. プレイ時間は?
ボイスを聞きながらで2〜3時間くらい。選択肢はなく完全一本道なので、サクッと終わる。
Q. ネタバレに注意すべき?
かなり注意が必要。検索するとサジェストに致命的なネタバレが出てくるので、買うと決めたらなるべく情報を入れずにプレイしてほしい。
Q. 単品とcomplete boxどっちがいい?
シリーズ通してやるならcomplete box(12,160円)のほうがお得。
Q. 万人におすすめできる?
正直、人を選ぶ。好きだけど重すぎて、気軽にすすめられない。
ダークな展開に耐性がある人には間違いなく刺さるけど、そうじゃない人にはきつい。
まとめ

メリルの甘いもの食べてる顔にほっこりして、幹部のネチネチにイラつかされて、みんなで食卓を囲む温かさにじんときて。
で、後半に全部ぶっ壊される。
やられた。
「咎人の境界線」というタイトルの意味が、この3作目でようやく体に刺さった。
もう戻れないところまで来てしまった主人公たちの物語を見届けたら、最終作まで走らずにはいられなくなる。
演出のあっさりさは気になったし、敵の器の小ささにもうちょっとどうにかならんかったのかとは思う。
でも、プレイ後しばらくこの作品のことばっかり考えてしまった。
重いし苦しいのに、続きが気になって仕方ない。
覚悟はしておいたほうがいい。








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