『グリザイア:ファントムトリガー Vol.5.5』感想・レビュー|日常と過去が交差する有坂回

レビュー

殺し屋だらけの学園で、いちばん「普通」の人にスポットが当たる番外編。
『グリザイア:ファントムトリガー Vol.5.5』は、新米教師・有坂秋桜里を主役に据えたVol.5の追加エピソードです。
この記事では、本作をレビューしていきます。


作品情報

項目内容
タイトルグリザイア:ファントムトリガー Vol.5.5
メーカーフロントウイング(Frontwing)
発売日2019/05/17(ダウンロード版)
対応機種PC(Windows)
ジャンルアドベンチャー(ADV)
プレイ人数1人
シナリオ藤崎竜太
原画渡辺明夫/ななかまい(SD原画)
声優内田真礼 / 佐倉綾音 / 名塚佳織 / 種﨑敦美 / 南條愛乃 / 三森すずこ / 高森奈津美 / 井澤美香子 / 行成とあ / 近江知永 / 北垣内春香
対応言語日本語 / 英語
販売サイトDMM GAMES / DLsite

あらすじ

舞台は、特殊技能訓練校として生まれ変わった美浜学園。
行くあてを失い、迷い込むようにこの学園へやってきた新任教師・有坂秋桜里は、”殺し屋育成学校”の教員という特殊な環境で、すでに3ヶ月の時を過ごしていた。
生徒たちに寄り添い、懸命に職務と向き合ってきた彼女ですが、学園が突きつけた教員評価は厳しいものでした。
有坂は学園を巡り、殺し屋として育てられてきた少女たちと対話を重ねながら、自分自身を見つめ直していきます。
そして彼女に、人生最大の決断の瞬間が訪れる——。


有坂秋桜里という人が、ようやく見えてくる

本編ではずっと”巻き込まれた一般人”枠だった有坂先生。
そんな彼女が主役になる回ということで、正直そこまで期待せずに始めたんですが、いい意味で裏切られました。

まず過去がなかなかにえぐい。
詳細はネタバレになるので伏せますが、「あぁ、この人ちゃんとどこかおかしい人だったんだ」と納得させられる重さがあって、彼女が美浜学園に来たのには、ちゃんと理由があったわけです。
前作の主人公・雄二とどこか似た過去を背負っているのも、シリーズを追ってきた身としては刺さるポイントでした。

人物の掘り下げも丁寧で、徹底した小市民でありながら、実は周りをよく見ている。
そして病的なまでに謙虚。
この「普通すぎる人」の輪郭が、対話を重ねるごとにくっきりしていくのがいいんですよね。
気づけば銃に詳しくなっているあたりの変化も、3ヶ月の積み重ねを感じられて良かった。


殺し屋学園の日常と、本編の補完が心地いい

本作はVol.5の追加エピソードという位置づけの番外編で、物語の本筋を大きく動かす巻ではありません。
その分、学園での日常がたっぷり描かれます。

自分はこれが好きなんですよ。
みんなで食事をするシーンとか、ちょっとした日常会話とか。
殺し屋育成学校という物騒な舞台なのに、流れている時間は妙に穏やかで、このギャップがファントムトリガーの魅力だと改めて思いました。

そして単なる日常回で終わらないのがこの巻のいいところ。
有坂以外のキャラたちの過去や人間関係、それぞれの変化もしっかり描写されていて、本編の補完としても機能しています。
前作グリザイアシリーズとのつながりを感じる場面や、アニメ版との違いを見つける楽しみもあるので、シリーズ経験者ほど拾えるものが多い一本だと思います。


まとめ:番外編として、きっちり満足できる一本だった

派手な事件よりも、ひとりの「普通の人」の決断を静かに描いた巻。
日常パートの心地よさと、有坂という人物の掘り下げ、その両方がしっかり効いていました。
プレイ後は、本編の有坂先生を見る目が確実に変わります。
自分はこのまま続きのVol.6に進みたくなりました。

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