パッケージのムラサキを見た時点で「あ、今回はこの子の話だ」と分かるんだけど、いざ始めてみたら想像の何倍も持っていかれた。
『グリザイア:ファントムトリガー Vol.5』は、自称ロシアン忍者・ムラサキを主役に据えた一作。
この記事では、ムラサキというキャラの魅力と、彼女の過去にぐっと踏み込んだこの巻の手触りをレビューしていきます。
作品情報

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | グリザイア:ファントムトリガー Vol.5 |
| ブランド | フロントウイング |
| 発売日 | 2018/07/27(DL版配信開始:2018/09/14) |
| 対応機種 | Windows(7 / 8.1 / 10) |
| ジャンル | アドベンチャー |
| シナリオ | 藤崎竜太 |
| イラスト | 渡辺明夫 / ななかまい(SD原画) |
| 音楽 | 藤間仁 / 松本文紀 |
| 対応言語 | 日本語 / 英語 |
| プレイ人数 | 1人 |
| 販売サイト | FANZA / DLSite |
※発売日はソース間で表記差があり、原版の発売日を「発売日」、ダウンロード版の配信開始日を補足として併記しています。
あらすじ

テロリストの鎮圧を終え、しばらくが過ぎた美浜学園。
そこへ、ムラサキの姉である狗駒悠季(ユーキ)が海外での任務を終えて帰国し、A組に復帰してくる。
妹よりも社交的で優秀な姉が周囲と打ち解けていくのを見て、ムラサキは「自分がここにいる理由」をふと考えはじめる。
そして物語は、ムラサキがハルトと出会った頃へとさかのぼっていく。
未熟な自分を補うため、技を求めて山奥の村を訪れたハルト。
そこで継承されてきたという秘伝の技と、ムラサキの一族が抱えてきたものが、少しずつ姿を見せていく。
それは運命的な出会いであると同時に、どこか哀しさをまとった物語でもあった。
ムラサキというキャラの面白さに尽きる
正直、この巻はムラサキというキャラの面白さに全部詰まってると言ってもいいくらいなんだよね。
最初はいつものファントムトリガーらしい軽い掛け合いから入っていくんだけど、ムラサキが喋り出すと一気に空気が彼女のものになる。
とにかくギャグセンスが高い。
マキのことを「くっころ」呼ばわりするくだりとか、怪獣映画への謎の愛とか、いちいち笑わせてくる。
嘘のつき方ひとつ取っても妙にうまくて、つかみどころのなさがそのままキャラの魅力になってる。
で、この面白さを最後にもう一段引き上げてくるのが声なんだよね。
ムラサキを演じる種崎敦美さんのボイスがとにかく刺さる。
この人の声とこのキャラの組み合わせが本当に最高すぎて、軽口を叩いてる場面も含めて全部が愛おしく聞こえてくる。
過去と一族の秘密、コンプレックスが見えてくる

姉のユーキが登場したあたりから、作品の温度がじわっと変わってくる。
それまでの軽さはそのままに、ムラサキが抱えてきたものが少しずつ表に出てくるんだよね。
一族に継承されてきた、とんでもない力。
社交的で優秀な姉と、つい自分を比べてしまう負い目。
そして「ハルトに主になってほしい」という、彼女なりの願いみたいなもの。
ギャグ担当だと思っていたキャラの内側に、こんなに重いものが秘められていたのかと、見ている側の認識がぐらっと揺れる。
このシリアスな面を知ったことで、ムラサキへの感情移入が一気に深まった。
ふざけている場面も、その裏にあるものを知ってから見返すと意味が変わって見えてくる。
笑わせてくれるキャラが、いつの間にか一番気になるキャラになっていた、という感覚だった。
シリーズとしてのつながり ─ 本家ネタとハルトの過去

ファントムトリガーをここまで遊んできた人にとって嬉しいのが、グリザイア本家への目配せがちゃんとあること。
ユウジたちの話に触れられる場面があって、シリーズを追いかけてきた身としてはニヤッとさせられた。
ファントムトリガー単体としても楽しめるけど、本家を知っているとこういう小ネタの効き方が変わってくる。
そしてこの巻でじわじわ顔を出してくるのが、ハルトの過去。
ムラサキの過去をたどっていく流れの中で、ハルト自身が背負ってきたものの断片も差し込まれてくる。
全部が明かされるわけじゃなくて、あくまで「少しずつ」なんだけど、その出し惜しみの仕方がうまくて、続きが気になって仕方なくなる。
ムラサキの話として完結しつつ、次へのフックもしっかり残してくる構成だった。
補足

対応機種は?
Windows向けのPC作品です。対応OSはWindows 7 / 8.1 / 10。
プレイ時間の目安は?
エロゲー批評空間に登録されているデータでは、プレイ時間の中央値はおよそ4時間。
ファントムトリガーの1巻ぶんとして、腰を据えれば一気に読み切れるボリュームです。
Vol.5だけ買えばいい? セット版はある?
Vol.5単品のほか、vol.1〜vol.8をまとめたグリザイア:ファントムトリガー vol.1〜vol.8 コンプリートセット(DLsite)も販売されています。
シリーズをまとめて遊びたい場合の選択肢として用意されている、という案内まで。
まとめ

なんだかんだ、ムラサキが一番好きになった巻だった。
入口はギャグとキャラの軽さで、笑わせてくるキャラだなと思って遊んでいたら、過去を知ったことで一気に感情移入してしまって、気づけば一番気になる存在になっていた。
種崎敦美さんのボイスも込みで、ムラサキというキャラの良さを存分に味わえた一作。
ハルトの過去という続きへの引きも残してくれたので、この余韻のまま次の巻に進みたくなった。









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